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コソボ関連の書籍あれこれ


みなさんはどこかに旅行に行くとなったらどのように情報収集をしますか?

わたしがどこかまだ知らない場所に行きたいな、と思ったときに一番知りたいのは、その土地の文化、風習と人々の生活です。

そしてそういう情報って、ガイドブックの類だとそこまでイメージが膨らまないんです。

そこでわたしは、その土地に関する文学作品を読んだり、映画を見たり、音楽を聴いたりして、どんな雰囲気の場所なのかを知ろうとします。

なのでもし同じようにリサーチするのが好き、という方に向けてコソボ(とバルカン)関連のあれこれをご紹介します。

今回は書籍についてです。

【書籍】

・イスマイル・カダレの小説

 「死者の軍隊の将軍」「砕かれた四月」「夢宮殿」「誰がドルチンナを連れ戻したか」「草原の神々の黄昏」

 上記の作品は日本語で読めます。たいていの図書館に置いてあると思います。

 カダレはアルバニア出身の小説家。コソボ、というよりは、アルバニア民族の伝統や風習、その雰囲気がつかめるかと。

 特に、「砕かれた四月」は、今でもアルバニア北部で続く「血の掟」についての話。わたしは読んでその不条理さに驚き、ページを繰る手が止まりませんでした。

・イヴォ・アンドリッチの小説

 ノーベル賞も受賞したユーゴスラビアの作家。

 「ドリナの橋」「呪われた中庭」「ボスニア物語」「ゴヤとの対話」「サラエボの女」「子羊アスカの死の舞踏」「サラエボの瞳」

 上記が日本語で読めます。

 もしボスニア・ヘルツェゴビナとセルビアの国境にある町、ヴィシェグラードを訪れるなら、「ドリナの橋」を読んでみてください。その町に架かる橋の話です。

 サラエボやベオグラードに行く予定の方は「サラエボの女」がおススメです。作中に地名や建物が出てきます。

 激しい感情の発露があってちょっとついて行けない気分になるのも、バルカンの人々と関わる予習になると思います。

アルバニアン・インターナショナル

 社会評論社からでている井浦伊知郎著のアルバニアという国に関する本。

 よくわからない国・アルバニアを解説した貴重な一冊。図書館の蔵書検索でこれを見つけた時はとても嬉しかったです。

 何度もプププ、となりながら読み終えると、アルバニアに行きたくなること必至?!

・悪者見参ーユーゴスラビアサッカー戦記

 フットボールジャーナリストの木村元彦著の、ユーゴスラビアをサッカーという切り口で見た本。

 …だけでは終わらないのが面白いです。

 世界的には「悪者」のレッテルを貼られてしまったセルビア(ユーゴスラビア連邦共和国=チトーが死んで各国がバラバラになった後のユーゴスラビア)という国を、全く違う視点から描いています。

 日本でも活躍したピクシーことストイコヴィッチもよく出てくるので、むしろバルカンに興味がないサッカーファンがこれを読んでバルカンに興味を持つかも。

 ワールドカップに出るために練習をしていたのに、「紛争当事者」として出場を禁止され、その時にピークだった選手たちはこの先一生ワールドカップにでるチャンスを逃してしまったり、練習試合をしてくれる相手国が見つからなかったり、試合を行う国に行くビザが下りなかったり。

セルビアに行く方はもちろん、クロアチア、ボスニア、コソボに行く方にも是非読んでほしい一冊。

・戦争広告代理店

 ボスニア戦争に対する私たちの印象は、「ボスニア=かわいそうな被害者」「セルビア=人殺しの悪者」という見方が強いですが、それがどんな風に作り出されたのかを追った本。

 サスペンスさながらの内容で、読んでいて止まりませんでした。かなり面白いので旅行先にはもっていかない方がいいかも?!観光できなくなりますよ。

 これもぜひ、ボスニア、セルビアに行かれる方にはぜひ読んでほしいです。

・ユーゴスラビア現代史

 岩波新書から出ています。わたしはたぶん最後まで読んだ気がするんですが、実はあまり覚えていません…。

・そこから青い闇がささやき

 ベオグラードで学び、現在も在住されている山崎佳代子著のエッセイ。ボスニア戦争、コソボ紛争当時のベオグラード及びバルカン地域が舞台となっています。

 わたしは初めてサラエボを訪れた時に読んでいました。

・ダニロ・キシュ

 その山崎さんが翻訳している作家。わたしはまだ未読なのでこれから読んでみたいと思っています。

 「若き日の哀しみ」「庭、灰」「死者の百科事典」が日本語で読めます。

ふぅ…

今思いつくのは以上です。また何か思い出したらその都度紹介します。

次回は「映画」で。

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