この前の日曜(6月11日)、コソボで総選挙がありました。
結果は、社会民主主義政党である「コソボ民主党(PDK)」が33%を獲得し、議会内で最大議席になりました。
PDKは常にコソボ議会の中の最大与党勢力で、現コソボ大統領のハシム・サチもこの政党に属しています。
でも若い人たちからの支持はイマイチ。
その中の理由の一つは、この政党はコソボ紛争の時の軍隊であった「コソボ解放軍」の構成メンバーからできた政党だから。
コソボ解放軍は、「コソボを支配していた」セルビア軍に対抗して戦った、という見方もできれば、それと同時に、コソボ解放軍側も様々な戦争犯罪を行った、という事実もあります。
そしてそんな軍隊に属していた人たちが現在のコソボ政治の中で力を持っているので、戦争犯罪の糾明は、まぁ簡単にもみ消すことができますよね。
で、今回の総選挙の結果で大きく注目されたのは、常に与党に抗議しコソボ議会の改革を目指している政党「ヴェテヴェンドシェ!(Vetëvendosje!)」が26.6%を獲得し、議会内で第二位の政党になったこと。
もともとこの政党は、大国がコソボを「支援」してやる国造りに反対するためにできた集団で、何よりも「アルバニア人が自らの力でコソボの独立・国造りをするべきだ」という思想を掲げています。
その主な活動方法は、街頭でのデモ及び町中での「落書き」。
自分たちのスローガン、「Jo Negociata – Vetëvendosje!(交渉でなく、自決!)」をスプレーで書きまくりました。
今でもプリシュティナの中心地へ行けば、あちこちにこのスプレーで書かれたスローガンを見ることができますよ。
この理想的な思想は、若者の間で大人気。
わたしの友人・知り合いのほぼ全員と言っていい人たちが、ヴェテヴェンドシェ支持派です。
そして、この政党の党首であるアルヴィン・クルティは、テレビで見るたび、逮捕・拘束されている人物です。
まぁ罪状はいつも、大規模集会を開いて人民を煽ったから、的なやつです。
以前、友人の一人で、結構熱狂的なヴェテヴェンドシェ支持派の人が、「アルヴィン・クルティは20年前もデモをしていて、20年経った今も変わらずデモをし続けている(そして逮捕され続けている)」と評していましたが、こういう「ロックな」姿がウケるんでしょうね。
日本にもいますけどね、何度落選しても都知事選に出続けているスマイル党のマック赤坂とか。
国政のあり方を変えたい、という部分では共通しているのかな?
でも、方や金持ち国家日本の大金持ち候補者、方や貧弱国家コソボで刑務所にぶち込まれ続けている候補者。
「思い」を比較することはできませんが、「日本って政治も趣味の延長」ってちょっと感じずにはいられない、なんて?!
それを支持したり褒めたりする若者も、その姿勢はある程度ファッション?!
なんて言ったら言い過ぎかな。
っていうか、まぁコソボでも若者がヴェテヴェンドシェを支持してるのが、ファッション的感覚じゃないとも言い切れないし。
「彼氏が支持してるから」みたいな女の子もいっぱいいるし。
なんにせよ、しばらくして落ち着いたら、今度は議会が整えられ首相が選出されます。
それはまたのお楽しみ。