同じヨーロッパ圏内といえど、西ヨーロッパに比べ物価が安いというイメージのバルカン半島。
一体その物価はどんなものなのか、ここでご紹介します。
毎度地図がしょぼくてすみません…。
おなじみのフリーハンドで書いたバルカン半島の地図です。
「バルカンの物価」とひとくくりにしても、その幅は国によって広がりがあります。
そして(一緒にすればいいのに)国によって使用されている通貨もいちいち異なります。
【バルカン半島の通貨一覧】
① アルバニア: Lek(レク) 1Lek=1円
② モンテネグロ: Euro 1euro=119円(!!!)
③ ボスニア・ヘルツェゴビナ: Marka(マルク) 1KM=61円
④ クロアチア: Kuna(クーナ) 1Kuna=16円
⑤ スロヴェニア: Euro
⑥ セルビア: Dinar(ディナール) 1RSD=1円
⑦ マケドニア: Denar(デナル) 1MKD=2円
● コソボ: Euro
EU圏であるスロヴェニアがユーロを使っているのはわかりますが、なぜコソボとモンテネグロもユーロ??
一瞬、「あれ?ここEUだっけ?」と旅行者に思わせるEU詐欺か!?
(コーカサス地方のグルジアはEU加盟国ではないにもかかわらず、あちこちにEUの旗が掲げられている。わたしは「あれ?ここEUだっけ?」と思った)
その理由。
セルビア(ユーゴスラビア連邦)統治時代のコソボでは、ユーゴスラビア・ディナールが使われていたのですが、
コソボ紛争の際、そのディナールの価値と信頼性が不安定になり、人々の日常ではそれに代わって「ドイツ・マルク」や
「スイス・フラン」が使われていました。
紛争が終わってもコソボではユーゴスラビア・ディナールが使われることはなく(一部コソボ北部及びセルビア系住民の居住区を除く)、2002年1月1日よりコソボで使用する通貨はユーロへと変更されました。
コソボ独自の通貨は存在しません。
モンテネグロも同様に、1996年頃より国内でドイツ・マルクが使用されていました。
その後2002年に正式にユーロを自国の通貨として使用することになりました。
つまり、どちらの国とも、もともと使うことになっていた通貨の信用性が国内で機能しなくなり、
その代わりとして、もっと信用性の高い外国の通貨(ドイツ・マルクや米ドルやスイス・フランなど)が出回るようになり、
でもそれだとやはり一国の経済としては混乱するから、それを収拾するためにユーロが使われることになった、ということみたいです。
コソボでたまに見かける光景なんですが、ユーロ圏の人が旅行でやってきて、
通貨が同じなものだから自分の国の感覚で、100ユーロ札とか時には500ユーロ札で支払いをしようとするのですが、
コソボではそんな大きな金額のお札なんて普段の生活の中で必要ないので、おつりを渡せなくて困っているというのをみます。
ここでは、ポケットに2ユーロコインだけ入れてコーヒーを飲みに来るような世界ですから…。
そう、前置きが長くなりましたが、バルカンの物価。
わたしの感覚で、左から右へとクレッシェンド仕立てにしてみました。
アルバニア< コソボ< セルビア< ボスニア・ヘルツェゴビナ<マケドニア< モンテネグロ< クロアチア< スロヴェニア
(ただし、二位~五位の間はほとんど差がなく、自由に入れ替え可能)
基準としたのはコーヒーの値段です。
アルバニアではエスプレッソが30セント、モンテネグロだと1ユーロ、スロヴェニアでは2ユーロでした。
アルバニアは基本、なんでも安いです。
ただし宿だけは高い。高いというか、設備が整っていないので、割高に感じる、と言った方が正しいです。
同じ値段で、コソボやセルビアではもっと快適な宿に泊まれます。
ボスニアは、食べ物の質やサービスがコソボやセルビアに比べ悪いので、値段に釣り合っていないような気持になります。
あと、バルカンの中では、ボスニア人が一番お金に対して正直じゃないです。
外国人(はたまた同じ国の人からも)からは、なるべく多くとってやろう、という気持ちがよく働いています。
盗難も多いので注意が必要。
モンテネグロがわたしにとっては一番ちょうどいいかな、という位置づけです。
そこまで高くなく、お金を払って得られるものの質が比較的まとも。
クロアチアに来ると嘘みたいに物価が跳ね上がります。さすがEU圏。
とくにシーズン中のドブロブニクの物価は西欧並みかそれ以上です。
ここまで来たら一旦バルカンにいる、ということを忘れて、なんでも「ドブロブニクだから」と諦めたほうが楽しめます。
バルカンだと思うから、その高さにドギモを抜かれ、さらに文句まで言いたくなるのです。
ドブロブニクはもうバルカンではありません。
同じように、スロヴェニアもバルカンだと思わないのがいいですね。
もうここは中欧。
オーストリアよりは安くて、でも同じように美しいのにどことなく素朴ね…と思うことにしましょう。