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コソボで部屋を借りる


2016年夏に再びコソボを訪れた時は、数か月同じ町にいる予定だったので、ホステルに泊まるのではなく

アパートを借りてみようと前々から考えていました。

日本にいる時から、コソボの友人・知人の何人かに、「アパートの賃貸物件の心当たりはないか」と聞いていました。

しかし、夏といえば国外に出稼ぎに行っているコソボ人がこぞってコソボに戻って来る期間であり、

貸し部屋はすでにそういう人たちに押さえられていると思う、というのがコソボ人からの回答でした。

さらに、滞在する予定の町(プリズレン)で国際映画祭が開催される時期ともかぶっており、二重で見つけにくいだろうという、

めずらしく悲観的なコソボ人の意見をもらったことから、日本にいるわたしもアパート探しは諦めて

とりあえずコソボに行くことにしました。

しかし現地についてみると、アパートの件を相談していた友人の友人たちから、ちょくちょく「アパート探しているんだって?どうなった?」と、こちらのアパート探しを気にするそぶりがあり、

相談をしていた当人たちからも、「貸し部屋見つけたよ」と頻繁に連絡があるではないですか。

今回は完全にダメだろう、と諦めていたわたしからしたら「???どうなってるん?」という状態。

一つには、アルバニア人と会話する際の注意点でもあるのですが、

アルバニア語って(たぶん)曖昧表現というものがなく、語調が断言的になるんですね。

その感覚のまま彼らは英語を話すので、どうしても英語表現もが断言的に。

たぶん、「アパート見つけるの難しいかもしれないけど、でも探したらあるかもしれない」くらいのことが、

「アパートを探すのは難しい」といった感覚で、こちらには伝わってきてしまう。

だから彼らの言うことを真に受けるのではなく、言葉半分くらいで聞いておかないと

「あれ?あの時こう言っていたじゃん…」と振り回される形になります。

今回のわたしがまさにそのパターンでした。とほほ。

というわけで、根っからのおせっかい、じゃなかった、世話好きのアルバニア人たちなので、

「友達の友達がアパートを探しているらしい」と知るや、

特にこちらから直接頼んだわけではないけど、

会うたび「空いているアパートを知っている人を知っている」とか、「部屋探しどうなっている?」と言葉をかけてきてくれました。

結局、相談していた友人の友人がある日、

「ぼくの叔父のアパートに空き部屋がある。中心地からも近いし静かなところだし、一度見に行ってはどうか」と言ってきてくれたのが

一番条件がよさそうだったので、その人に連れられて部屋を見に行きました。

☝このおうちのキッチンテーブル。よくこのビスケットが置いてあった。素朴な味でおいしい

部屋は、アパートの二階で(一階には別の家族が住んでいるけど玄関は共同)、

そのワンフロアにある部屋の一つをわたし(とわたしの友人。この時は日本人の友人も一緒に部屋を借りた)に貸したいという。

その部屋に付いているバルコニーに通され、夜風に当たりながら、

わたし、日本人の友人、紹介してくれた人、その叔父という四人で条件などについて話合いました。

叔父さんは英語ができないので、基本的に紹介者が同時通訳をするという流れ。

はじめは「プリズレンは気にいったか」「毎日なにしてる」「日本のどこからきた」みたいな話を延々として、

ひと段落した後で、「で、家賃はいくらなら出せる?」と聞かれました。

こういうのって日本なら先に値段が決まっているのが当たり前なので、

「いくら出せる?」という問いには正直困りました。

「いくら出せる」と「いくらなら出したい」は違うので、そりゃこちらとしては安いなら安いに越したことはないけど、

何せ友人の友人の叔父、ということで失礼には当たりたくないし、それにここの相場も分からないし。

恐る恐る、「一か月200ユーロなら…」と切り出してみました。

向こうは表情を変えずアルバニア語で何か言っています。

気弱なわたしなので、何かやばいことを言って怒らせたのではないか、とひやひやしました。

結局もう少しほしいという先方との交渉で、一か月250ユーロ(一部屋)ということで話がつきました。

ちなみにわたしたちが借りる部屋は、普段は夫婦の寝室らしく、夏の間だけ客人に貸し出して小銭稼ぎをしているそうです。

人に貸している間、この夫婦は隣にある息子の部屋のソファーベッドで寝ていました。

なんか占領しているみたいで申し訳ないな~とも思ったのですが、

会うたびにすごくよくしてくれて食べ物なんかもたくさんくれるし、

まぁコソボ人の平均月収が200ユーロというのに比べたら、一部屋かしてそれ以上もらえるなんてかなり割のいい収入ですもんね。

しかも数か月後、「250ユーロなんて高すぎる。ローカルは中心地にあるアパートでさえ1か月50ユーロで借りてる」と

コソボ人の友人に言われました。

ちょっと、なんでそれ早く言わないの?というと、

「だってそれ(250ユーロ)で納得して払ってたんでしょ。ならいいのかなと思ってた」と言われました。

うーん、世話はしてくれるけど、そこらへんは別に親身になってくれるわけではないのね。

☝共同の玄関。日本の家みたいに靴を脱いで入る。廊下や階段には絨毯が敷き詰めてある

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