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ルーマニア映画と東欧


今日「4か月、3週間と2日」というルーマニア映画を見ました。

ルーマニアはバルカンには含まれないようですが、セルビアのすぐ右隣りで正教会を信仰する人の割合が高いという点と、

共産主義国家だったことなどから、どことなく町の雰囲気はバルカンのそれと似ています。

あとバルカン以上にジプシーの姿をよく見かけます。

映画の物語の舞台は1987年となっており、これはチャウシェスク独裁政権時代の話です。

この人の独裁政治は相当ひどかったみたいで、オリンピックで有名になったコマネチさん(ルーマニア出身)を無理やり自分の息子の愛人にするなんてことも。

ティミショアラというルーマニア西部の町から始まったチャウシェスクを倒す革命のときも、最後には共産党本部の屋上から奥さんと共にヘリコプターで脱出するも、

その後つかまり、公開銃殺された人物です。

ティミショアラには無料(というか気持ち程度の寄付を求められる)で入れる「革命博物館」があります。

素人が趣味の延長で作った手作りの博物館ですが、熱量はかなりこもっており、見ごたえたっぷりですよ。

この時の革命やチャウシェスクの独裁体制に興味がある方にはおすすめです。

👆ティミショアラにある革命博物館。館内にアロエが置いてある。説明書き等はすべて手作り

で、この人がとった政策の一つに、「離婚と堕胎の禁止」というのがありました。

今回みた映画もこの、「堕胎の禁止」に絡んだ内容でした。

それにしても、見ていて女性の扱われ方がひどいなーという印象を受けましたね。

そしてそれに近いものを、現代のコソボでも感じます。

例えば、主人公の女の子が恋人と口論する場面があるのですが、男の子側はまずなんでこの女の子が怒っているのかが理解できない。

女の子が求めていることはただ一つ。

「心も体も大切に扱ってほしい」=そう扱われていないと感じているから怒っている。

のに、いくらそれを言っても、男の子の側は「僕なんか悪いことした?」状態。

とにかく女の子とヤルことしか頭にないわけだから、女の子のもろもろになんか興味がなく、話が通じないんです。

とりあえずその場を収めて女の子の機嫌がよくなりさえすればいいので、ただひたすら(でも適当に)謝り続けるだけ。

女の子に「何が悪いかわかって謝ってる?」と聞かれても、わかってないので黙るしかないっていう。

(あれ?日本でもあるか…。)

コソボでも、男の子にとって女の子はヤレればいい対象なので、彼女の仕事がどうだとか、家族の調子がどうだとか、結局のところどうでもいいんですよね。

わたしの知っているコソボ人のカップルの場合。

最近、彼女の方のお父さんの具合が悪いらしく、看病をしないといけないため、あまり会ったりできないという状況になりました。

彼氏の方は女遊びばかりする人で、彼女もそんな彼の性格を知っているので、

「わたしは最近たくさん会うことができないから、その間他の子と遊ぶのをとめないわ」と言ったらしいです。

普通なら、そこでそんな状況の彼女を放って女遊びすると良心が痛みそうですが、

彼の場合、「やった!許可も下りたことだしたくさんあーそぼ」という状態です。

映画の中で、主人公がバスに乗るシーンがあります。

彼女は無賃乗車をしていて、そこに運悪く切符拝見係が乗り合わせてくるのですが、これもセルビアやボスニアのトラムで現代でも日常的に見かける光景ですね。

基本、地元の人は切符を買わず乗っています。

そしてみんなの言い訳が、自分の給料からしたら切符が高くて買っていられない(切符は約90円)というもの。

悪いと思っている素振りは全くありません。

一度サラエボでは、切符拝見係に捕まる前に、走っているトラムの扉を無理やり手で開けて飛び降りた男性を見ました。

特にそれについて驚いている人もいなければ、拝見係も追いかけるとか上司に報告するとかということは全くしていませんでした。

みんなしてその人の後ろ姿を車窓から茫然と眺めていただけでした。

こういう世界で生きる人たちって、ズルするとかそういう気持ちは多分なくて、できないことはしないし、チャンスがあるなら遠慮せず取りに行く、というただそれだけの感覚で物事を行っているように見えます。

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