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閉じ込められたコソボ人

コソボ人との会話でよくあるのが、自分たちがいかに外国に行けないか、というもの。

事実、2017年現在コソボ人がコソボパスポートでビザなしで訪れることができる国は、コソボと国境を接する3か国(アルバニア・マケドニア・モンテネグロ)とトルコなど計11か国です。

ちなみにセルビアはコソボの独立を認めていないため、コソボパスポートの存在ももちろん否定。

コソボ人はセルビアに行くこと自体は可能ですが、その際はコソボパスポートではなく、IDのみ使用可能です。

アライバル・ビザ可の国もいくつかありますが、そのほとんどが、アフリカやなんちゃら諸島や東南アジアといった国々で、コソボからの直行便があるわけもなし、彼らにとっては現実的には行けないも同然の場所ばかり。

というか、コソボ人が行きたい「外国」ってつまりヨーロッパか北米なわけで、それらの国々からはことごとくビザを要求されているという状態です。

だから結局「(行きたい)外国に全然いけない!!」という不満がものすごいんですね。

今回コソボに戻った時、あるコソボ人の友人がわたしに向かってこんなことを言いました。

「ヨーロピアン・ユニオンは、近いうちに日本人に対してもヨーロッパ(EU諸国)に行くのにビザを要求することを検討しているよ」とのこと。

その理由をわたしが尋ねると、日本はルーマニアやクロアチアといったEUのいくつかの国にビザを要求してるから、EUも仕返しに要求して何が悪い、ということでした。

かなりこの人の主観が入った意見なわけですが、これを言っているときの顔が、嬉しくてたまらない、といった表情だったのがものすごく印象に残っています。

たぶん、たとえヨーロッパがコソボ人にビザの要求をしなくなっても、ヨーロッパを訪れるコソボ人の数ってそんなに変わらないと思うんです。

経済的に行けないから。

セルビアやアルバニアやボスニア人は、ビザなしでヨーロッパに行けるけど、やはり行くためのお金がない人ばかりだから、同じように文句ばかり言っているのを耳にします。

でもその置かれた状況として、「頭ごなしにダメ=ビザが必要」と言われているのと、お金がなくて行けないというのでは感じ方が違うんでしょうね。

それが見ていて分かるのが、コソボ人がいかに「外国コンプレックス」が強いかということ。

「外国では○○なんだろう」という、多分初めはTVかネットか知らんけどどこかから得た情報が、コンプレックスが強すぎるため、外国での現状をはるかの凌駕したレベルのものとなってコソボで行われています。

例えば夜遊び。

アムステルダムやベルリンではきっとこうなんだろう、という妄想を自分たちの社会でやろうとした結果、アムステルダムやベルリン以上にハードな遊び方をします。

バルカン人のもともとの激しい気質もあるんだろうけど、傍で見ていると、「こんな風に遊びたいから」という動機からではなく、「世界の人がやってるように自分たちもしたい→しなければいけない」レベルでやっているように見えて、一体この中のどれだけの人がこれを本気で楽しいと思ってやっているんだろうか…という疑問を持たずにはいられません。

ヨーロッパの人たちはそれが当たり前にできるせいか、固執していないしそこに特別な価値もあんまり置いていないと思うんですね。もう少しリラックスしているというか。

それに対しコソボ人(でも全員ではない、もちろん)は、それに対する執着がものすごい。だから見ててなんか子供っぽい。

まぁあと何十年後かにはコソボ人も普通に世界に羽ばたけるようになればいいですね。

やっぱ偏見やコンプレックスでは、自分たちと違う文化を持つ人のことは理解したり受け入れたりできないと思うんです。

理解できないからより自分たちだけで固まり、自分たちがいかに正しいかという思いが強固になる。

これってコソボだけでなく、現在の世界の動きや日本の田舎とかにも置き換え可能なことだな、とわたしは感じています。


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